日光街道から都電三ノ輪橋駅へのショートカットの角の脇「立喰生そば 長寿庵」天ぷらそば340円をずずずっっっ。
三ノ輪といえば、ジョイフル三ノ輪商店街で営業を続ける南千住砂場(あるいは砂場総本家)が有名だけれど、そのお膝元でがんばっているのがこちらの路麺店。長寿庵を名乗っているけれど、長寿庵のれん会には所属していないようです。オレンジ色の看板に「立喰生そば 長寿庵」と書かれていて、その下には短めながら紺色に白字の暖簾もはためいています。ここ何度かなぜかシャッターにあたってしまいしばらく訪問できていませんでしたが、久しぶり(十数年ぶり?)でお邪魔することが出来ました。
店内はごく小さなテーブル3卓と厨房を囲むL字のカウンターのみ。昔ながらの路麺店ゆえ、券売機なんて無粋なものはなく、厨房の旦那さんに口頭注文。ここは定番のかき揚げそばをいただきます。メニューはそれほど多くなく絞り込んでいるのは、味に自信故か、それとも。
そう待たずに丼が手渡されました。ではいただきます。色黒の汁は、まずは見た目を裏切らず醤油の味が感じられますが、尖っているわけではなく出汁がサポートし強めの甘さを感じます。そして味のキレがなかなか良い。3段階のインパクトがなかなか楽しい。こういう麺には、いわゆる本格的な蕎麦は合わなくて、昔ながらの製麺所製のやわい麺じゃないと。
そして、こちらのかき揚げもなかなかユニーク。これもおそらく揚げ置きを油どおししてるんじゃないかと想像するけれど、小麦粉分が多い扁平な円盤の表面数カ所に、小海老(アミ?)の紅さがくっきり目立ちます。口にしてみれば海老の香ばしさが楽しく、汁の力強さに負けません。程よく散らされたネギの名脇役ぶりも見逃せません。そして徐々に汁と天ぷらの味が馴染んでいくところに路麺の醍醐味があるのです。
路麺店としてはすぐ近くに「峠のそば」もありますが、あちらが洗練系モダン路麺の傾向があるのに対して、こちらのお店は硬派でクラシカルな王道路麺と言っていいでしょう。こういうお店、徐々に少なくなってきているけれど、こういうジャンクな一杯って時々無性に食べたくなるんですよね。こういうお店は、行けるときに行っておかないと、と最近つくづく思います。ごちそうさまでした。
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